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映画「ロリータ」の猥褻な攻防

ナボコフの小説「ロリータ」は、ベストセラーというだけでなく、今日も「ロリータ・コンプレックス」(ロリコン)や「ロリータ・ファッション」などの言葉で影響を与えています。今回は、その小説をもとにスタンリー・キューブリックが製作した62年の映画「ロリータ」の話です。
ロリータ


中年男が12歳の少女に恋をして破滅に向かう物語は、いかにもキューブリックの好みです。しかしヨーロッパ各国で発禁処分を食らった本の映画化には、困難が多くありました。そもそもこの内容では、ハリウッドの検閲機関の審査を通らないことは明らかでした。

当時のハリウッドには「未婚の男女が、同じ平面で寝ない」などの細かくも可笑しいルールがあったのです。さらに未成年との猥褻な恋を描くことは、検閲の問題だけでなく、キリスト教団体の圧力もありました。そこでキューブリックは、直接的な性描写を出さない代わりに、台詞や仕草で表現することにしました。

しかしこの試みも、良識委員会から強い反発を受け、キューブリックと製作者のハリスは苦しい言い訳を重ねます。例えばロリータの母親と男の会話です。

「あなたの叔父さんに、穴を埋めてもらっているの」
「知ってる。奴は淫らな老人だ」

この会話は即刻削除しろと言われますが、「歯の治療の話だ」と言い張りました。

ロリータ

またロリータの台詞、

「あなたに触られると、ヌードルみたいにふやけちゃうの」

は、ヌードルの比喩は猥褻だと言われますが、ヌードルに深い意味はないから変更しないと言い張ります。深い意味がないなら変更してもいいはずですけどね。こうして良識委員会と激しい攻防があり、なんとか公開にこぎ着けたのですが、出来栄えはキューブリックにとって満足のいくものではありませんでした。

この時期には他の映画でも「『彼女にパセリを見せてもらうんだ』のパセリの比喩は猥褻だから削除しろ」と言われた名監督のビリー・ワイルダーが「何ならいいんだ?ブロッコリーか?」と言い放って、一騒ぎ起こしています。キューブリックは満足しませんでしたが、これらの映画を契機にハリウッドの自主規制コードは大きく変化することになりました。

あらゆる性的描写や暴力描写が禁じられていたハリウッドは、年齢によって入場を規制するレイティング方式に移行し、ここからアメリカン・ニューシネマという新たな流れが生まれるのですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。
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プロフィール

井上 毅

Author:井上 毅
はねもね
福岡県出身
東京都在住
以前やっていたブログ「はねもねの独り言」の続編です。

外資系金融機関に勤めながら、あちこちに出没しています。

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