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そもそもアイドルって何だっけ?

私がまだ20代で若かった頃、渋谷の某所でダイアモンド・ダレル(後にダイムバッグ・ダレルに改名)というアメリカ人に「キミのアイドルは誰だ?」と質問されました。パンテラというバンドで人気が急上昇中のギターリストで、後にカリスマ的な存在になった人です。
ダイムバッグ・ダレル


写真の通りの野性的なルックスで、刺青だらけの腕で握手して、軽い会話の流れから

Who is your idol?
(キミのアイドルは誰だ?)

と、真顔で質問されたわけです。有名人と英語で会話するだけでも緊張するのに、本人の恐ろしい風貌に加えて、周囲のファンの目もあります。だからほとんど反射的に、何も考えずに本当のことを言いました。スティーヴィー・レイ・ヴォーンというギターリストの名前を挙げたのです。

真顔のダレルは天を仰ぎ「クソっ、何だって?、何てこった、クソっ」(shitとかfu◯kとかですね)と言い、「お前は最高だ」と再度握手されました。圧倒される私のことなどお構いなしにダレルは話し続けます。

「スティーヴィーは、俺の永遠のアイドルだ」
「本当に?全然音楽が違う」
「彼は俺たちの誇りなんだ。教えてくれ、クソみたいなミュージシャンが星の数ほどいるこの世界で、キミはたった1人の本物の名前を挙げた。スティーヴィーの何が好きなんだ?」
「ソウルフルで、物語を語るように弾くソロ」

これ以降はダレルがハイテンション過ぎて、言っていることの半分も理解できず、ただとにかくダレルがスティーヴィーのことが好きなんだということと、互いにテキサス出身なので、それを誇りに思っていることがわかりました。会議室のような部屋の床に座り、子供のような笑顔で「スティーヴィーのスゲぇところはさ」と、エアギターで語る姿はおかしくも微笑ましくもありました。

アイドルとは偶像です。崇拝され尊敬され、崇められる存在です。いい歳した大人が地べたに座り、空きっ歯の中年ギターリストをアイドルとして語るのは、今日の日本では変な光景ですよね。だけどダレルにとっても私にとっても、間違いなくアイドルだったのです。可愛らしく歌を歌うのがアイドルではなく、場所も時間も忘れて語り合え、尊敬し、時には恐れ、可能なら同化したいと思える存在です。
スティーヴィー・レイ・ヴォーン
スティーヴィー・レイ・ヴォーンです。


ですからアイドルを自ら名乗るのは、恐れ多い行為です。日本では小泉今日子さんが「なんてったってアイドル」と歌ってから、自らアイドルと名乗るのが公然化し、今では「アイドルをやってます」と言っても違和感がなくなっていますが、本来はその人がアイドルかどうかを決めるのは他人なのです。

この時、ダレルと短い時間ながらも語り合ったスティーヴィー・レイ・ヴォーンは、当時すでに故人でした。ヘリコプターの墜落事故でした。ダレルは所属バンドのパンテラがヒットアルバムを連発し、ダレル自身もメタル界のアイドルになります。そしてパンテラ解散後に、解散を逆恨みしたファンによって銃殺されました。

いやしくも、その日はジョン・レノンの命日の12月8日でした。本当に残念なことです。
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プロフィール

井上 毅

Author:井上 毅
はねもね
福岡県出身
東京都在住
以前やっていたブログ「はねもねの独り言」の続編です。

外資系金融機関に勤めながら、あちこちに出没しています。

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